毎日の日課が世界遺産の散歩とは、お金がなくとも贅沢なライフスタイルだと思いませんか?この日は、市街地のすぐ近くにあるニース城址「コリーヌ・デュ・シャトー」へ。
丘の上からニース市駅、リベラシオン方面を眺めると統一された屋根がずっと向こうまで続いているのがわかります。中央左に現代的な黒い建物がありますが、ニース駅の隣に先日完成したばかりのユニクロなどが入る駅前複合施設です。
個人主義の国フランスと言われますが、街並みだけは没個性。どの建物も建築スタイルは似たようなもので屋根の色はほぼオレンジ。まるで日本とは正反対。集合意識の強い日本が、なぜ統一された街並みを作れないのか甚だ疑問です。
さて、ニース市の人口は35万人ほど、近郊都市圏で100万人程度。日本の人口と比較すると少なく感じてしまいますが、フランスでは5番目に大きい都市で、現在最も人口増加の激しい都市のひとつ。超人気なだけあって、外国人ということもあり賃貸物件を探すのは激ムズ。
3ヶ月間のアパート探しは困難を極め、ほとんど諦めかけました。しかし、3月末には当時のアパートを退去する短期契約だったので、最後の最後まで探し続けました。
そして、ようやく見つけたのが退去の約1週間前。
ギリギリセーフで野宿を逃れることができました。
さて、4月1日にようやく引っ越しをしまして、落ち着きました。
大家さんはとても良い感じの方で、本業は歯科医でありながら投資家として不動産会社も経営されているそう。色んなビジネスの話にも花が咲き、無事仲良くなることができました。フランスでは大家さんとの関係性は結構大事で、市街地は建物自体も古いのですが色んな不具合とかが起きた時の対応に差が出たりするらしい。
にしても、家具付きアパート(appartement meublé) というのがフランスでは結構あるのですが、このシステムは外国人や決まった期間しか住まない人には良い。家具など揃えなくてもすぐに住み始めることができます。
ある日、大家さんと投資家仲間の人たちとディナーに行くことに。
南フランスでホテルのオーナーをしていたり、アパートを運営していたり、スーパーを経営していたり。ホテル経営の話を聞いてみると、人口1万人程度の小さな町で高級ブティックホテルや別荘を経営してるそう。5月から10月まで運営して、冬季は休業しているんだとか。冬は自分のバカンス期間として好きなところに旅行しているそうです。
そんな投資家の皆さんにこんな質問をしてみました。
「日本に旅行するなら何週間の滞在を計画しますか?」
まず、フランス-日本間の飛行機の移動時間を尋ねられました。ニースからだと最短で18時間くらい。ドバイ経由だと20時間くらいはかかります。そして、コストはエコノミークラスで1500€くらい。ビジネスクラスだと3000€はかかるのでは?そんな話になりました。
すると、皆さん口を揃えて「最低3週間は滞在するね」と。
続けて、「出来れば1ヶ月くらいは旅行したいね。この歳になると何度も行ける場所じゃないから。」と、そんな結論でした。いや、皆さんまだ50代ですよ。何度も行けます。
しかし、その後も議論を重ね、フランス人の投資家4人が日本旅行すると3週間から1か月くらいかけるというのが結論のようです。旅行という表現ではなく、やはりバカンス(長期休暇)という表現の方が適切なんだろうと、改めて実感しました。
フランスでは、バカンスを楽しく過ごすために、ホテルだけでなく高級コテージや別荘など様々な選択肢があるようです。もちろんAirbnbなど民泊施設もありますが、長期滞在施設の選択肢が色々あります。
例えば、高級別荘に住み込みで家事をしたり、管理人になったりして、その代わりに無料で滞在できるシステムがあったり。あるいは、一定期間だけ別荘所有者がお互いの別荘を交換し合ったり。バカンスの国では色んなシステムがあるようです。
人口が少なくてもこれだけバカンス需要があれば、バカンスシーズンは活気がありそうです。そして、冬の間は自分のライフスタイルを楽しめる。なんともフランス人らしい考え方を知ることができました。
さて、フランスのバカンス文化を少し学ぶことができまして、長期休暇を労働者の権利として大切にしているかを実感しました。
これからは1年を12ヶ月ではなく10ヶ月と考えて働く方が良い時代なのかなと、日本の働き方について考えてしまいました。最近は円安で、日本旅行が常時バーゲンセールになりつつあります。たくさんの外国人が日本旅行を選択し、日本文化が世界へと発信されやすくなっています。
一方で、安売りの国のイメージが定着すると、本物の文化までも「チープ」な印象を持たれてしまい、さらには海外で働く日本人も安く使われかねません。為替は時流のもので、またそのうち円高に振れるでしょうが、その時に日本の本当の価値が問われそうです。
現在、ユーロ高のフランス・ニースでは日本人旅行客をほとんど見かけません。現在フランスを旅行している日本人は、目的が明確だったり、相当フランスに思い入れがある人だろうと思います。