6月、ニースは気温のちょうど良い観光に最適な季節がきました。徐々に街が活気に満ちていくのを感じます。そういえば今年はパリオリンピック。ニースはサッカーの会場になっているので、ますます盛り上がる事でしょう。また、史上初のツールドフランスの最終ゴールにもなっています。今年はスポーツイベントが盛りだくさんのようです。
さて、僕の6月といえば、写真家としても本格的に活動を始める事になりました。また、イベントも盛りだくさんなので芸術の初夏とも言えそうです。
コートダジュールの美しいエズ村と写真撮影
6月初旬はまだ少し涼しくて撮影に最適な季節。晴れていることも多いのでオススメ。今回はニース在住フランス政府公認ガイド Miaki さんご家族の記念撮影をエズ村にてさせて頂きました。Miakiさんはコートダジュール周辺の公認ガイドをされていらっしゃる方で起業家ママとしてご活躍されています。ニース周辺で通訳やガイドをお探しの方はぜひチェックしてみてください。
さて、エズ村では有名な熱帯植物園や中世からの街並みが残っており、その美しい風景を目当てに世界中から観光客が集まります。熱帯植物園の頂上に向かうと圧巻の地中海の絶景が眼前に広がります。




エズ村の中には5つ星ホテルが2軒あり、村の中は高級ホテルの建物が多くあってまるで迷路のよう。特に有名なシェーブル・ドールの建物は村中に村中に繋がっている様で、細い路地を進むとホテル併設のカフェがありました。こちらは一般の利用も可能だそうです。
どこを切り取っても絵になる風景。6月初めの午前中は観光客もまだ少なく撮影しやすかったです。熱帯植物園は午前中のオープン直後がオススメ。

その後、6月だけで4回ほどエズ村に行きました。友人が撮影してくれた珍しい僕の写真です。日本からも幼馴染が遊びに来てくれたりとありがたい限り。6月はスタージャスミンの季節ということで、村中の建物が白と緑のコントラストに彩られています。
歴史的な建物が残るだけでなく、美しく管理をして観光客の目を喜ばせる、さすが観光大国だと思います。フランスにあってゴミひとつ落ちていない村、さすがです。ニースに来られた際にはぜひお立ち寄りをオススメします。
日本からわざわざ遊びに来てくれた幼馴染と友人とパシャリ。写真は時間を切り取ってくれるツールです。これもいつか良い思い出になることでしょう。

オペラ座と謎。
芸術の秋ならぬ初夏。フランスといえばオペラ座です。オペラ座のシーズンがいよいよ最後ということで、行ってきました。今回はオペラではなくクラシックコンサート。曲目はメンデルスゾーン「ヴァイオリン協奏曲第2番」そして、エルガーの「エニグマ変奏曲」。どちらも名曲中の名曲です。

現在のニースオペラ座は1885年に柿落としされた2代目で、国立ではなくニース市立劇場。1000席以上、ボックス席が周りを半円形に囲む馬蹄型劇場です。今回は1階ボックス席の少し右側でした。僕はボックスの最後列(3列目)を予約していたのですが、最前列の老夫婦が交換して欲しいとのことで、まさかの最前列に変更。そんな偶然もあるものですね。
さて、このタイプの劇場は聞く場所によって全く音の聞こえ方が違います。僕自身は普段は格安の天井桟敷に行くことが多いのですが(10ユーロくらい)、今回は念願の曲目ということで奮発しました。今回、ラッキーで最前列になったわけですが、最前列の音はやっぱり違います。むしろ下のホールより良いのではと思いました。どうなんでしょうか。オペラ座はボックス席の場合は最前列をオススメします。
肝心の演奏についてですが、いうまでもなく今回のニース滞在の中でもトップクラスの感動体験でした。ヴァイオリン協奏曲はもちろんのこと、エニグマ変奏曲が素晴らしかったです。老夫婦が涙を流して聞いている姿がありました。人生の終盤にこの音楽を聴くと、一体どのような気持ちになるのでしょうか。僕にはまだ計り知れないものがあります。

もちろん拍手喝采で指揮者は何度も行ったり来たり。しかし、さすがにこの曲の後にはアンコールはなく解散となりました。しかし、すごすぎました。エニグマ変奏曲を全体通して聴く機会は少ないと思いますので、とても良い体験になりました。人生について深く考えさせられる曲の一つです。
10年ぶりのオランジュ古代劇場と邂逅。
6月下旬、フランス滞在前半を締めくくる旅に出ました。場所は10年前の留学時代に訪れた南フランスの小さな街、オランジュ。ここは古代ローマ遺跡が残る世界遺産の街として知られ、その中でも古代ローマ劇場が街の名物となっている。
10年前ここに来なければラベンダーと出会うことがなかっただろう、こうしてフランスで仕事をすることにはならなかっただろう、そんな風に思う、僕の大切な場所のひとつです。今回のフランス滞在中にどうしても来たかった場所のひとつで、留学時代からの10年間を振り返る邂逅の旅でもありました。

もともとフランス留学をするきっかけはワインにハマったので、現地で本場のワインを飲もうと思った。当時の僕は農業に興味があり、ワインという高付加価値の農産物に関心を抱いていた。そういう理由でボルドー留学を選んだと思います。もちろん英語以外の言語習得というのも目標の一つでした。
そして、もう一つの目標はヨーロッパのオペラ座を巡ること。フランス各地のオペラ座を巡っていたわけですが、最後のオペラ座がオランジュの古代ローマ劇場でした。当時はここで「カルミナ・ブラーナ」を聴きました。

約2000年前、アウグストゥスの治世に建設されたという古代ローマ劇場は世界で最も保存状態が良いローマ劇場のひとつだそうです。その頃の日本は弥生時代です。信じられない状態で残っているなと、ただただ驚くばかりです。そりゃー、世界遺産にもなりますよね。
そして、現在の様子は下の写真の通り。

今回の目玉でもある「MIKA Philharmonique Chorégies d’Orange」です。
学生の頃からMIKAを聴き続けてきて、まさか学生時代に訪れたオランジュで聴けるとは思ってもおらず大感動。しかもオーケストラバージョンということで、貴重な機会となりました。オランジュ特有の暴風「ミストラル」に見舞われるアクシデントもありましたが、無事に終了。
ミーカの新曲「C’est la vie – それが人生」
フランスらしい表現で、ポジティブにもネガティブにもなる言葉。
ミーカ自身の言葉を引用するならば「この曲は、ある朝目覚めて、ようやく過去の自分が豊かになり、未来を受け入れる準備ができたと言うマニフェストである。幸せになれるかどうかは、何よりも自分自身にかかっている。私たちがすべきことは、夢から大きく外れることなく、たくさんの出会いや経験、欲望に向き合いながら、自分自身を作り直すことなのだ」とあります。
留学から起業、そして10年の時を経て、新たなチャレンジへと向かう自分の状況が、まさにこの曲のようで、10周年を迎えた自分へのご褒美のような時間でした。
僕にとって、音楽や写真のような表現に触れることはドライなビジネスの世界に身を置く自分に、ウェットな部分を蓄える機会なのかもしれない、と思います。ビジネスの世界でも血の通った温かい手段を常に心がけたい、そんなことを思いながら、ミーカの歌声を心に響かせる夜のオランジュでした。
テレビ放送された際の映像がありました!